来年度から認定低炭素住宅について補助制度の導入を目指す
出典:ハウジング・トリビューン
国土交通省2020年の省エネ基準の義務化に向け、検討を開始した。年内にも骨子案をまとめる方針だ。
省エネ基準の義務化では、現行の省エネ基準である平成25年基準への適合を義務付けるのか、あるいは義務基準を新たに設けるのかが焦点になっている。
省エネ基準の適合率は、大規模なビルなど非住宅建築物では2012年度で93%と9割をこえているものの、住宅では54%と半数程度にとどまっている。とくに中小工務店にとっては、施工や設計の面で省エネ基準への対応が難しく、取り組みが遅れている状況だ。
現状のまま省エネ基準を義務化すれば市場が混乱するという指摘もある。そのため、レベルを下げた義務基準を新たに設定する案も浮上していた。国土交通省では、中小企業も含めた一次エネルギー消費量を指標とするものに改正され、新たに平成25年基準が施工された。
さらに、今年4月に閣議決定した新たなエネルギー基本計画では、2020年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準の適合を義務化することが盛り込まれた。
そこで、国土交通省は社会資本整備審議会建築分科会において、今後の住宅・建築物の省エネルギーのあり方について論議をスタートされた。建築分科会の建築環境部会で具体的な方策を検討していく。
建築環境部会では、実施方策についても論議していく。省エネ基準への適合率を踏まえ、まずは対応が進んでいる非住宅や大規模建築物から先行して義務化し、その後住宅などへ義務化の対象を広げていく方針だ。
大工や設計者向けの技術支援も強化していく
住宅の省エネ基準への適合率を向上させる施策も検討する。
同省では平成25年基準の施行を受け、工務店や大工、設計者を対象とする講習会を全国で開催している。省エネ基準に適合する断熱施工や設計方法についても学んでもらい、能力向上を図っている。
こうした中小工務店三毛の支援を今後、さらに強化していく方針だ。「資材流通業者や建材メーカールートでも工務店などの講習会への参加を促していきたい」(住宅局 住宅生産化)としている。
省エネ基準への適合義務化を円滑に進めるうえでは、評価・審査体制も整備する必要がある。行政庁や性能評価・審査機関などに対しても省エネ基準の普及・啓発を促していく。省エネ住宅に関する技術支援も行う。
住宅の省エネ化、ゼロ・エネルギー化に寄与する先導的な技術開発に補助などを行い、積極的に支援していく。技術革新によるコスト削減などを進め、省エネ基準への対応を容易にしたい考えだ。
国交省では、建築環境部会での論議を踏まえ、年内にも今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について、骨子案をまとめる方針。1月中旬には骨子案をパブリックコメントにかけ、1月下旬に開催する建築文科会で最終報告を行う予定だ。義務化に向けて、いよいよ制度の全体像が明らかになりそうだ。
家造りアドバイザーのコメント
ただでさえ、国際水準に比べて、低い基準が長く続いているが、家をつくる施主の事を考えても早く国際水準になってほしい、というのが私たちセルフエナジーハウス研究会の願いである。
住宅会社の対応が難しく、混乱しないようにするためレベルを下げた基準を・・・ という考え方もあるようだが、そんなことを言っていたらいつまで経っても施主に対して低性能住宅を提供することになり、又技術立国日本の住宅部門における進歩を阻害することにもなるのでは、とおもえる。
そんなに難しいことではないので是非レベルの高い省エネ基準へとシフトしていただきたい。
CMシステム全国家づくりネットワーク
(社)セルフエナジーハウス研究会 ハイブリッドeハウス開発担当
家づくりアドバイザー 上野 勝