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原価公開の意義

CMシステム家づくりネットワークで皆さんご存知の「原価公開」・・・私たちにとってはごく当たり前のことですが、これが大手のゼネコンでも好評だったようです。以下「日経ホームビルダー」の記事より抜粋してみました。

つくる人の不満が「原価公開」で解消されている という記事です。

皆さんいかがでしょうか?ちょっと専門的な内容ですが、ニュアンスとして、今の建設業界の中身なども見えるのではないでしょうか?

私たちCMシステム家づくりネットワークの注文住宅の話とは少し違うところがあるかもしれませんが、何かを感じ取っていただけたら幸いです。

CMシステム鹿児島 家づくりアドバイザー 上野

きっかけは発注者の不満、「原価開示方式」考案者に聞く

多摩大学の校舎新築など、前田建設工業に3件の工事の特命受注をもたらした「原価開示方式」。考案者の岐部一誠総合企画部長は、建設会社の工事価格に対する発注者の不信や不満を重く受け止め、新しいビジネスモデルをつくり上げた。

―原価開示方式を始めようと思ったきっかけは。

建設業が価格競争を強いられるようになるなかで、「これで誰が幸せになっているのだろう」と考えたことが発端です。赤字受注の連続で、それを下請けの協力会社に転嫁しているとしたら、誰も幸せになっていない。価格競争によってどこにしわ寄せが行くかというと、やはり品質と安全です。姉歯事件をみてわかるとおり、品質が保たれなければ、結果的に発注者も負担を強いられる。これはウイン・ウインでなく、ルーズ・ルーズの状態です。

日建連(日本建設業団体連合会)が上場会社に対して実施したアンケートを読む機会があり、「建設会社は信用できない」という意見に目を留めました。「ちょっと競争させると億単位で金額が変わる」というのです。謙虚に受け止めなければならないと思いました。

従来の価値観でいくと、相手の懐具合を探って、10億円の予算を持っていそうだったら10億円の建物を建ててお金を丸ごともらうのが、建設会社の優秀な営業マンです。現場の人間も同様で、10億円をいかにして出させるかを考えるのが優秀な技術者だと言われてきました。そういうことが、価格の信頼性を疑われる原因だと分析しています。

「建設会社の営業は迷惑だ」という意見もありました。施設担当者に対する接待攻勢が激しくて、癒着を防ぐために人をしょっちゅう替えなければならないので困るというわけです。「そんな接待をするくらいなら、工事費を下げてほしい」といった声も寄せられました。

そのころ前田建設に、ある大手メーカーから手紙が来ました。「当社の社員に過剰な接待をした場合は、当人を重罰に処する」という内容です。つまり、飲食やゴルフ、贈答品を止めてくれと。すべての取引先に送っていたようですが、そういうことをする会社とは取引をしないということが書いてありました。

工事費と比べたら接待費なんて、たかが知れていますが、時代は透明性やコンプライアンスを求める方向に流れつつあるなと感じました。襟を正すようなビジネスモデル、信用や信頼を勝ち得るようなやり方、価格競争にならないような方式ができればなあと、漠然と思っていたのです。

発注者とつくる側が同じベクトルになるように

―考えをまとめたのは、いつごろですか。

2004年です。私は当時、前田建設から派遣され、多摩大学の「40歳代CEO育成講座」を受講していました。学長を務めていた中谷巌先生が塾頭です。そのなかで考えをまとめました。

中谷先生は建設業界の状況を、「情報の非対称」によるものだと言いました。建設会社と発注者の情報がかい離しているために、不幸なことが起きていると。経済学では情報の非対称をつくること、つまりブラックボックス化することによって、お金をもうけるのが一つのセオリーだが、ここでは情報の非対称が不幸をもたらしているという意見です。

建設会社は発注者に「良いものを安くつくります」と言っている。でも心の中では、なるべくお金をもうけようと考える。発注者は、「とにかく良いものをつくって下さい」と言いながら、いかにお金を払わないでつくらせようかと思っている。思惑が違うのです。違う方向を向いている者同士が、同じプロジェクトをやっているのだから、不幸なことが起きるわけです。

発注者と、つくる側の人間が、同じベクトルになるような契約方式にすることによって問題を解消し、売り手と買い手と世間が「三方よし」になるようなことができないか。我々はものをつくる、コーディネートすることによってフィーをもらうという考え方に変えないといけないだろうと。そのためには原価を思い切って相手に見せて、「本当にかかったお金はこれだけです」と言った方が、信用されるのではないかと思いました。

とはいえ、原価を開示することによって、現場の人たちがただ辛くなるだけなら嫌になりますよね。発注者に喜ばれ、利益も上がって、つくっている人の評価も上がるような仕組みにすることが重要です。例えば、10億円の工事を9億円で済ませることができたら、差額の1億円のうち6000万円をボーナスとして受け取る。そういう仕組みを入れることによって、皆が同じ方向を向いて、本当のパートナーとして一つのものをつくっていける。

従来の契約方式では、発注者が「オレは10億円で発注したのだから、あとは知らない」となりかねません。困ったことが起きても「そんなのそっちで全部やってくださいよ。手がかからないように、ゼネコンに発注したのでしょう」と言う人もいる。そうじゃなくて、発注者も我々と一緒に良いものをつくろうと思わなければ、本当に良いものはできないのです。

いろんな人にヒアリングしましたけど、発注者が皆「とにかく安けりゃいい」と思っているわけではありません。誰もゼネコンに赤字で仕事してほしいなんて思っていない。

ある発注者は、「こういうビジネスモデルを待っていた」と言いました。「我々はこの建物で30年間、メシを食う。建物がボロでは困る。ゼネコンが手抜き工事をしたと新聞に書いてあって、どうしたものかと思っていた。この方式ならば誠心誠意、つくってくれるだろう」と話すのです。

このくらい利益をもらいます。その代わり、我々はできる限りの情報を開示するし、リスクも負う。つまり丸裸で包み隠さず仕事をするわけだから、仕事ぶりを見てフィーを下さいというやり方です。

フィーは粗利ベースで10%

―多摩大学の工事は、中谷先生の縁で受注したのですか。

多摩大学で工事があることは、その縁で知りましたが、中谷先生に発注権限があるわけではありません。受注の力添えを得たわけでもなく、経営母体である学校法人田村学園にアイデアを説明し、関心を示してもらいました。その後、設計事務所の理解も得て、受注することができました。

―原価開示方式を、特命の工事にしか導入しないのはなぜでしょう。

発注者が我々の原価を知り、それを基によその会社とネゴされるのはフェアじゃありません。「丸ごと一式いくら」というのとは条件が違います。見積もり条件が違う人たちと価格競争するのは意味がないということで、原価開示方式を導入する工事は特命を条件にしました。

それに、原価開示方式は価格を決めるまでに1カ月とか1カ月半とか、時間がかかります。図面が確定しないと金額が決まらない部分があるので、そういうところは持ち越しのまま、後で正式に決まっていく。通常の価格競争入札とは進め方が違います。

従来の契約は、決まっていないことがたくさんあるのに、フィックスしてしまうところがある。アバウトのまま契約するので、後から問題が出てくる。原価開示方式によって、そういうことも解消したいと思いました。

「特命」という呼び方は、不透明なつながりで工事を受発注したような誤解を与えます。原価開示方式では、請負者は対等なパートナーという位置づけです。「イコール・パートナーとして選んでもらったときだけ、原価開示方式を採用する」と言っていただきたいところです。

―多摩大学の工事のフィーは。

原則として10%というラインを設けています。他産業の利益率と比べても、本来は15%くらいあってもよいと考えています。

―通常の工事に比べると、高い利益率ですね。

そのために原価を開示して、品質確保に手間もかける。原価は、発注者や設計者がインターネットを使って24時間、いつでも見られるようにしています。品質確保の面では、構造体を20年間保証します。安くつくると「手を抜かれているのではないか」と疑われるかもしれません。リスクを取ることで、品質に手を抜かない姿勢を示しています。

―3件の工事を実施して、工事費減によるインセンティブ、工事費増によるペナルティーの発生状況はどうでしょう。

1件目の多摩大学の工事と3件目の福祉施設の工事で、インセンティブが発生しました。ペナルティーはありません。

―実際にやってみて面倒だったことは何ですか。

原価を分解しないといけないことです。例えば、コンクリート工事なら、生コン代、運搬費、打設する人の人件費、型枠大工の人件費など、いろいろかかりますよね。値段というのは人、物、材料、機械に、そこに時間が加わって単価になる。原価開示方式は、どうしてその値段になったのかわかるように細かく見積もりを作っていくわけです。一番違うのは手間です。型枠を組む手間は、広いところと狭いところでは倍くらい違う。

そうやってターゲット・プライスを決めます。ただ、工事の最後の方など見通せない部分はある。前半の部分はかなり細かくやりますが、やりながら詰めていく部分も当然、出てきます。

計ったわけではいないですが、見積もりに3~4倍の手間がかかっている印象です。

一つでもズルすればビジネスモデルが破綻

―監査法人によるチェックを入れる目的を教えてください。

「本当に原価なのか。キックバックしているのではないか」と疑われないように、監査法人の監査を受けて証明書を出します。監査法人が調べるからといって、何かが担保されるわけではありません。

発注者が必要だと言うなら、毎月でも監査を受ければいい。多摩大学では3~4カ月ごとに支払いがあったので、そのたびに監査法人に書類をチェックしてもらいました。前田建設が100円と言った物に対して100円が支払われているかどうかを監査します。

原価開示方式の下では発注者と建設会社はイコール・パートナーです。もし、前田建設が1万円でしか仕入れられないのに、発注者が9000円で仕入れられるということなら、支給してもらいます。設計事務所に紹介してもらった会社も、いくつかありました。

―原価を開示することに対して協力会社の反発は。

いまのところ問題は起きていませんが、難しいところがあるかもしれません。ゆくゆくは協力会社も含めて、インセンティブとペナルティーを取り入れる仕組みにしたいと思っています。

―この方式が特命受注に結びつくとわかったら、他社も同じ方式で挑んでくるのではないですか。

設計変更で受注金額を増やす、さやを取るという文化ができあがっている建設業界のなかで、この方式の魂の部分を理解できる人は少ないはずです。例えば、外国から機械や材料を入れることによってトータルで安くすることを提案した場合、円高が進んで利幅が大きくなる可能性があります。我々はそれでも、浮いた費用から一切、さやを取らない。やりようによっては数十億円もうかるかもしれないのに、それはできない。一つでもズルをすると信頼関係が崩れて、このビジネスモデルは破綻します。

「発注者に原価を教えるなんてバカだ」という人もいれば、「面倒で嫌だ」という人もいる。私は技術者として現場にいたこともあれば、営業も経験したこともあるので、そのあたりの気持ちはよくわかります。相当の思い入れのある人間がいないと、導入は難しいでしょう。

岐部 一誠(きべ・かずなり)氏談より

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