省エネ基準大改正
出典:新建ハウジング
抜本改正は14年ぶり
2013年10月1日に、新しい住宅向け省エネ基準が施行された(平成25年基準)。14年ぶりの大改正だったこともあり、経過措置期間が設けられ、15年3月いっぱいまでは、次世代省エネ基準(平成11年基準)の適用も認められている。
平成11年基準との大きな違いは、躯体の断熱性能だけでなく照明や給湯設備、太陽光発電などの創エネル設備まで含めた一次エネルギー消費量を尺度とした基準が盛り込まれたこと。住宅で使うエネルギーの量で省エネ性能を表すのが狙いだ。
断熱性能についても基準が設定されているが、そのレベルは平成11年基準と同等レベル。ただし、熱損失係数Q値から熱貫流率U値に変わるなど変更が加えられた。そのこともあり、これまでの基準になれた人でも少なからず戸惑いがあり、なかなか浸透していない。
このため、平成25年規準は原則計算をベースとしているが暫定的な措置として採用する断熱材や設備などを選択して基準への適否が判定できる「仕様ルート」も設けた。表などで計算を簡略化できる簡易計算ルートも設定。採用を促している。
不適合住宅になるリスク
平成25年基準は2020年までに予定されている省エネ基準適合義務化のベースとして位置づけられている。
義務化はまだ先だが、現在の新築住宅がストックとして流通する時には、当然基準適合が義務化されている。25年基準を満たしていない住宅はその際「不適合」と評価される。現時点からでも、省エネ基準に関する説明は必須と考えたい。
低炭素認定はいまのところ低調
12年12月にスタートした低炭素住宅の認定基準も、同じく一次エネルギー消費量をベースとした基準。省エネ基準よりも10%性能を高め、指定炭素設備を導入すれば自治体の認定が受けられる。認定住宅は税制優遇や容積率の緩和といったインセンティブが設けられている。
利用は低調だ。13年7~9月の申請件数は1カ月当たり300件前後。仕様基準がないため、申請には計算が必須。申請の障壁が高く、結果として利用が伸びていない。
このため、14年度の税制改正大網は低炭素住宅向けの優遇制度の延長が盛り込まれた。
ラべリングも開始
エネルギー使用量で基準の達成度合いなどを表示できる「住宅エネルギー瀬能表示」も始まった。ウェブ上の計算ツールで自己評価ができるしくみ。
住宅生産団体連合会が提案した様式で、年間の一次エネルギー使用量の目安(ジュール/年)と、各種基準の達成度が視覚的に示される。この表示制度を取り入れて生活者の説明に利用する動きも出てきている。
家造りアドバイザーのコメント
何とも遅いな、と私たちには感じられる省エネ基準の見直しです。とはいうものの、これでも日本の住宅はかなり進歩するのでは、と思います。どんな住宅会社でも最低この基準ぐらいは超えるものを造っていかないと日本は環境先進国にどんどん水をあけられてしまいます。
家造りアドバイザー 上野