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改正省エネ法の4つのポイントを押さえる

「改正省エネ法の4つのポイントを押さえる」

この内容は、「日経ホームビルダー」に掲載された実務者向けの内容ですが、簡潔にまとめられていますのでので、ぜひ読んでみてください。プロの世界の雰囲気が少し分かりますよ。

CMシステム鹿児島 家づくりアドバイザー 上野

改正省エネ法 4つのポイント

2009年4月1日、改正省エネ法が施行された。戸建て住宅を規制する「トップランナー制度」を導入する一方で省エネ規定を簡素化し、従来に比べて敷居を低くした。現場の実務者が知っておくべき要点を4つ挙げよう。

改正省エネ法の4つのポイント

(1)規定の簡素化では、例えば気密性の確保に関する条項がなくなるほか、施工が難しい玄関土間などの断熱材を省略できる。一定面積以下の小さな窓は「複層ガラスなどの採用」、「日射遮へい措置」をしなくてもいい。

年間150件以上を販売する建売住宅の事業者には、通称「トップランナー制度」が導入される。5年後における新築住宅の省エネルギー性能の目標水準を国交大臣が設定。建売事業者は、年間に供給する住宅の平均値が目標水準を超えるようにしなければならない。

改正省エネ法の4つのポイント

改正省エネ法の4つのポイント

トップランナー制度では、(2)エネルギー消費量によって住宅の省エネ性能を具体的に示せる仕組みを取り入れる。(3)断熱区分を細分化し、等級4に少し足りなかったケースなども等級3と区別して評価できるようになる。

改正省エネ法の4つのポイント

(4)長期優良住宅は省エネ規定を満たすことが条件となる。なお、ここで気をつけたいのは気密化への取り組みだ。省エネ規定からは気密化の条項が外れたが、住宅の快適性を保つためには防露措置は欠かせない。長期優良住宅でも、省エネ規定に加えて気密化の措置を求めている。

目的は、あくまでも快適で住みやすい住宅の供給にある。そのなかでハードルの低くなった「省エネルギー住宅」への取り組みを家づくりにうまく取り入れ、ユーザーに的確にアピールすることが重要になる。

約7割が知らぬ省エネ法の改正内容

会場を埋め尽くす建築実務者が、熱心に講師の言葉に耳を傾ける――。今年4月と来年4月の改正省エネルギー法の施行を控え、3月前後からこんな講習の光景が全国にあった。講習項目は大別して2種類。いずれも建築環境・省エネルギー機構が主催している。

一つは、建売住宅を対象にした、いわゆるトップランナー制度の説明だ。この改正については、4月1日に施行する。トップランナー制度とは、既存の技術で実現している省エネ性能の高い製品の性能を目標値として掲げ、事業者にその達成を求める仕組みだ。建売住宅を建設・販売する事業者を主な対象にして、住宅の省エネ措置の目標値を定めた同制度をひも解く。

もう一つは、省エネ性能の届け出対象をこれまでの床面積2000m2以上の建物から300m2以上の建物に拡大することへの備え方だ。省エネ措置の新たな評価基準などを紹介している。2010年4月に施行するこの改正では、住宅向けと非住宅向けの2つの仕組みがある。

講習会が盛んに開かれ始めたことが暗示するように、現時点において建築実務者の改正省エネ法に対する認知度は決して高くない。日経アーキテクチュアは2月5日から2月19日にかけて、読者を対象に改正省エネ法の内容をどの程度知っているのかを尋ねた。すると、「ほとんど知らない」「どちらかと言えば知らない」と回答した人は、合計で約7割に達した。

改正省エネ法の4つのポイント
(資料:日経アーキテクチュア)

さらに、建築実務者に対して、省エネ法に基づく届け出の対象範囲が拡大されることや、家電製品などで導入されているトップランナー制度が建売住宅にも適用されることを知っているかどうかを質問した。その結果、建売住宅におけるトップランナー制度について知っている人は2割弱にとどまっていた。

改正省エネ法の4つのポイント

(資料:日経アーキテクチュア)

新築や増改築時の省エネ措置を役所に届け出る対象建築物の拡大は、建築界に与える影響の大きさを考慮して施行までの猶予期間を1年設けている。この対象範囲の拡大については、比較的認知度が高く、6割弱の実務者が「知っている」と答えた。それでも、対象範囲が拡大した際に簡易な方法で省エネルギー性能を判断できるようにする簡易ポイント法の導入については、7割強の回答者が「知らない」状況だ。

改正法の施行による建築界の混乱を回避するためには、「講習会などによる法の内容の周知だけでは不十分だ」という声も少なくない。今後、実務を支援するための解説書や計算ソフトウエアなどの普及を急ぐ必要がある。

広報やきめ細かい講習開催を求める声も

以下に、日経アーキテクチュアのアンケート調査で集まった意見を紹介する。カッコ内のプロフィルは、回答者の年齢と勤務先の住所、勤務先を、それぞれ示す。

行政はもっと広報を
法の存在を日経アーキテクチュアでしか知ることができなかった。行政はもう少し、アナウンスすべきだ。関係者だけが知っているという現状を容認しているのか。法で制約するという視点は、現状を考えると仕方ないと思う。それでも、気持ちで進めるのが、「エコ」の本分ではないか。(28歳、東京都、設計事務所)

税制面のメリットも一案
省エネ法を守ることで、税制面などにメリットが生じやすくしてはどうか。設計での仕事量が増えるものの、改正法自体は良いと思う。(51歳、愛知県、設計事務所)

廃棄時の問題も重要
省エネはCO2の排出量を削減するだけでなく、建て主の懐にも優しくなると思う。ただ、イニシャルコストが増大するケースが多いという面もある。蛍光灯をはじめとして、廃棄する際の問題に焦点を当てるべき面もあるのではないか。(35歳、岡山県、設計事務所)

仕組みが多い
CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)や住宅性能評価など仕組みが多い。1つに統一してほしい。(41歳、北海道、その他)

とても厳しい規制だ
本来、法で規制する対象ではないと思う。建築にとって、とても厳しい規制が始まるのではないか。(54歳、愛知県、設計事務所)

講習予定がなく困る
省エネ法について、部分的に理解している。しかし、届け出方法や提出図面、提出書類、計算方法が全く分からない。私の居住地の近くで講習会の開催予定がなく、困っている。(34歳、熊本県、設計事務所)

すぐに勉強したい
勉強不足でよく分からない。ただ、放ってはおけない問題だと感じるので、至急、勉強したい。(45歳、滋賀県、設計事務所)

消費者への強要
エンドユーザーへの押し付けのように感じる。(48歳、大阪府、設計事務所)

雰囲気に流されているのでは
24時間換気の義務化などエネルギーを無駄遣いする政策を強制しておきながら省エネルギーと言われても…。国は何も考えずに雰囲気だけで政策を決定しているようにしか見えない。(38歳、愛知県、住宅メーカー・工務店)

建設市場への悪影響を懸念
建築コストが余分に必要となり、設計時に要する手続きが煩雑になって確認申請が滞る。そして、建設需要が減り、景気低迷に拍車をかけるのではないか。(50歳、東京都、設計事務所)

[調査概要] 調査は2月5日~19日にかけて実施。読者モニター590人中、有効回答者数は136人。勤務先の内訳は以下の通り。設計事務所=78人、総合建設会社=26人、官公庁・公社・公益法人・独立行政法人=8人、住宅メーカー・工務店=8人、コンサルタント=4人、建材・資材メーカー=3人、専門建設会社=2人、その他=7人。日経BPコンサルティングの協力を得た。

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