固定資産税制度のあらまし
出典:総務省自治税務局
1 市町村の財政と固定資産税
市町村が仕事を行うための収支を財政といい、収入を歳入、支出を歳出と呼びます。歳入には、わたくしたちが市町村に納める市町村税のほか、国やと都道府県から市町村の行う仕事に対して出される国・県支出金、どの市町村も一定の水準の仕事ができるよう国税の一部が配分される地方交付税、借入金である地方債などがあります。
固定資産税は市町村税の約44%を占め、市町村税とともに、福祉、救急、ゴミ収集等基礎的な行政サービスを提供する市町村の財政を支える基幹税目として、重要な役割を果たしています。
2 固定資産税とは
固定資産税は、毎年1月1日(「賦課期日」といいます。)に、土地、家屋、償却資産(これらを総称して「固定資産」といいます。)を所有している人がその固定資産の価格を基に算定された税額をその固定資産の所有する市町村に納める税金です。
(1)固定資産税を納める人(納税義務者)
固定資産税を納める人は、原則として固定資産の所有者です。具体的には次の通りです。
- 土地 登記簿または土地補充課税台帳に所有者として登記または登録されている人
- 家屋 登記簿または家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている人
- 償却資産 売却資産課税台帳に所有者として登録されている人
ただし、所有者として登記(登録)されている人が賦課期日前に死亡している場合等には、賦課期日現在で、その土地、家屋を現に所有して人(相続人等)が納税義務者となります。
固定資産の評価替えとは
固定資産税は、固定資産の価格、すなわち「適正な時価」を課税標準として 課税されるものです。したがって、本来であれば毎年度評価替えを行い、その 結果を基に課税を行うことが理想的といえますが、膨大な量の土地、家屋について毎年度評価を見直すことは、実務的には事実上不可能であることや、課税事務の簡素化を図り微税コストを最小に抑える必要もあること等から土地と家屋については原則として3年間価格を据え置く制度、換言すれば、3年毎に価格を見直す制度がとられています。この意味から、評価替えは、この間における資産価格の変動に対応し、適正な均衡のとれた価格に見直す作業であるといえます。
課税標準額X税率=税額となります。
課税標準額
原則として、固定資産課税台帳に登録された価格が課税標準額となります。しかし、住宅用地のように課税標準の特例措置が適用される場合や、土地について税負担の調整措置が適用される場合は、課税標準額は価格よりも低く算定されます。
税率
市町村が税率を定める場合に、通常よるべきものとされている税率(標準税率)は1.4%です。しかし、市町村で財政上その他の必要があるときは、 異なる税率を定めることができます。
年の途中で土地の売買があった場合は
Q 私は、平成25年11月に自己所有地の売買契約を締結し、平成26年3月には買主への所有権移転登記を済ませました。平成26年度の固定資産税は誰に課税されますか。
A 平成26年度の固定資産税は、あなたに課税されます。地方税法の規定により、土地については賦課期日(毎年1月1日)現在、登記簿に所有者として登記されている人に対当該年度分の固定資産税を課税することになっているからです。
課税の仕組み
1 土地に対する課税
(1)評価の仕組み
固定資産評価基準によって、売買実例価格を基に算定した正常売買価格を基礎として、地目別に定められた評価方法により評価します。
■地目
地目は、宅地、田及び(併せて農地といいます。)、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野並びに雑種地をいいます。固定資産税の評価上の地目は、登記簿上の地目にかかわりなく、その年の1月1日(賦課期日)の現況の地目によります。
■地目別の評価方法
- 宅地(市街地宅地評価法)の評価方法
- 宅地(その他の宅地評価方の場合)の評価方法
- 農地、山林の評価方法
状況の類似する地区ごとに、標準的な田、畑、山林を選定しその適正な時価(その算出の基礎となる売買実例価格に宅地見込地としての要素等があればそれに相当する価額を控除した価格)に比準して各筆を評価します。ただし、市街化区域農地や宅地等への転用許可を受けた農地等については、状況が類似する宅地等の評価額を基準として求めた価額から造成費を控除した価額によって評価します。 - 牧場、原野、雑種地の評価方法
売買実例価額や付近の土地の評価額に基づく方法等により評価します。
(2)住宅用地に対する課税標準の特例
住宅用地は、その税負担を特に軽減する必要から、その面積の広さによって、小規模住宅用地と一般住宅用地に分けて特例措置が適用されます。
■小規模住宅用地
200m2以下の住宅用地(200m2を越える場合は住宅1戸あたり200m2までの部分)を小規模住宅用地といいます。小規模住宅用地との課税標準額については、価格の6分の1の額とする特例措置があります。
■一般住宅用地
小規模住宅用地以外の住宅用地を一般住宅用地といいます。たとえば、300m2の住宅用地(一戸建て住宅の敷地)であれば、200m2分が小規模住宅用地で、残りの100m2分が一般住宅用地となります。一般住宅用地の課税標準額については、価格の3分の1の額とする特例措置があります。
■住宅用地の範囲
住宅用地には次の2つがあります。
- 専用住宅(専ら人の居住の用に供する部屋の敷地の用に供されている土地・・・その土地の全部(ただし家屋の床面積の10倍まで)
- 併用住宅(一部を人の居住の用に供する家屋)の敷地の用に供されている土地・・・その土地の面積(ただし家屋の床面積の10倍まで)に一定の率を乗じて得た面積に相当する土地住宅敷地の用に供されている土地とは、その住宅を維持し、又はその効用を果たすために使用されている一画地をいいます。したがって、賦課期日において新たに住宅の建設が予定されている土地あるいは住宅が建設されつつある土地は、住宅の敷地とはされません。ただし、既存の当該家屋に代えてこれらの家屋が建築中であり、一定の要件を満たすとみとめられる土地については、所有者の申請に基づき住宅用地として取り扱うこととなります。また住宅が災害により滅失した場合で他の建物、構築物」の用の供されていない土地は2年間(長期にわたる避難の指示等が行われた場合には、避難等解除後3年間)に限り、「住宅用地」として取り扱われます。特例措置の対象となる「住宅用地」の面積は、家屋の敷地の用に供されている土地の面積に次表の住宅用地の率を乗じて求めます。
2 家屋に対する課税
(1)評価のしくみ
固定資産評価基準によって、再建築価格を基礎に評価します。
■新築家屋の評価
評価額=再建築価格x経年減点補正率
- 再建築評価額・・・評価の対象となった家屋と同一のものを、評価の時点においてその場所に新築するものとした場合に必要とされる建築費です。
- 経年減点補正率・・家屋の建築後の年数の経過によって生ずる損耗の状況による減価をあらわしたものです。
(2)新築住宅に対する減額措置
新築された住宅については、新築後一定期間、固定資産税額が減額されます。平成26年度の減額措置の適用関係は次のとおりです。
■適用対象は、次の要件を満たす住宅です。
- 専用住宅や併用住宅であること。(なお併用住宅については、居住部分の割合が2分の1以上のものに限られます。)
- 床面積要件・・・50m2(一戸建て以外の貸家住宅にあっては40m2)以上280m2以下
■減額される範囲
減額の対象となるのは、新築された住宅用の家屋のうち住居として用いられている部分(居住部分)だけであり。併用住宅における店舗部分、事務所部分などは減額対象となりません。なお、住居として用いられている部分の床面積が120m2までのものはその全部が減額対象に、120m2を超えるものは120m2分に相当する部分が減額対象になります。
■減額される額
上記の減額対象に相当する固定資産税額の2分の1が減額されます。
■減額される期間
- 一般住宅・・・新築後3年分(3階建以上の中高層耐火住宅等は5年度分)
- 長期優良住宅・新築後5年度分(3階建以上の中高層耐火住宅等は7年度分)
~ 新築住宅の軽減例 ~
Q 次のような併用住宅を新築しました。平成26年度分の家屋に係る固定資産税はいくらになりますか。
- 構造・・・・木造2階建
- 建築期間・・・平成25年7月
- 床面積・・・・160m2(居住部分100m2、店舗部分60m2)
- 平成25年度価格 12,000,000円(1m2当たり75,000円)
A ①減税措置が受けられます。
居住部分割合要件:100÷160≧ 1/2
なお、店舗部分の割合が2分の1を超えると、減税措置は受けられません。
床面積要件:50m2≦100m2≦280m2(税率は1.4%として計算します。)
②減税される額
12,000,000円 × (1.4/100) × (100/160) × (1/2) = 52,500円
③平成25年度分の固定資産税額
( 12,000,000円 × (1.4/100) ) ー 52,500 = 115,500円
CMシステム家づくりネットワーク アドバイザー 上野 勝